白ホリゾントスタジオ（白ホリスタジオ）とは、背景がどこまでも続いて見える真っ白な撮影スタジオのことです。壁と床が白一色でつながり境目が見えないため、被写体だけを際立たせて「無限の空間」を演出できます。

この記事では、白ホリスタジオの基本知識、構造の種類、活用シーン、スタジオ選びのポイント、メリットと注意点をわかりやすく解説します。

白ホリゾントスタジオの基本（語源・特徴）

白ホリゾントスタジオは、壁面と床面が同じ色（通常は白）で塗られ、つなぎ目が目立たないように施工されたスタジオです。

ホリゾントとはドイツ語の「Horizont（地平線）」が語源で、背景に境界のない空間を作り出せることから名付けられました。

一般的な白壁の部屋との違いは、床と壁が曲面でつながっていて影や線が出にくいという構造にあります。そのため被写体が浮いて見えるような印象的な写真・映像が撮れるのです。

白ホリスタジオの構造と種類

白ホリの構造には、大きく分けて「アールホリゾント（Rホリ）」と「直角ホリゾント」があります。

● Rホリゾント

床と壁の境目を滑らかなカーブ（半径：R）でつなぐ構造。影ができにくく、背景に線が映らない。

● 直角ホリゾント

壁と床が直角に交わる構造。白一色の塗装で背景を整えているが、角の影は残りやすい。

▼ Rホリゾントの種類

白ホリスタジオのメリット

✅ 被写体が際立つ

背景がシンプルな白一色で構成されているため、人物・商品・パフォーマンスなど、どんな被写体も目立ちます。

✅ 光のコントロールがしやすい

カーブ構造により光が反射しやすく、照明を当てることで自然光風にも劇的な照明にも対応できます。

✅ 編集・合成がしやすい

背景が均一な白なので、被写体の切り抜きや合成処理がしやすく、撮影後の編集作業がスムーズです。

✅ 多目的な撮影に対応

白ホリは多彩なジャンルに活用できます。

スタジオを選ぶときのポイント

はじめて白ホリスタジオを使うときに以下のポイントに注意してスタジオを選びましょう。

● 面数と構造

目的に応じて、1面R・2面R・3面Rを選びましょう。アングルを広く使いたい場合は3面Rがベストです。

● スペースの広さと天井高

被写体の大きさや人数に対して十分な広さがあるか。引きで撮りたいなら天井4m以上が目安。

● 照明設備の有無

常設のLEDライトやストロボがあると便利。機材レンタルがあるスタジオもおすすめ。
また、天井に照明を吊れる設備（バトンやグリッドなど）があるか確認しましょう。これがあればトップライトや均一な背景照明を当てやすくなります。

● 電源環境

ホリゾントスタジオを利用する際は、スタジオの電気容量を事前に確認しておくことが重要です。照明機材の使用が前提となるため、特殊な機材を持ち込む場合は、容量オーバーに注意が必要です。

また、多くのスタジオでは100Vと200Vの電源が用意されており、機材によって対応する電圧が異なります。撮影当日にトラブルが起きないよう、事前に機材と電源の対応状況を確認しておきましょう。

● 床や壁の清掃状況

白ホリの床は汚れがとても目立つため、事前の塗り直し対応や清掃体制の確認しておきましょう。

白ホリ利用時の注意点

⚠ 床を汚さない配慮が必要

靴底の汚れやタイヤ跡、ガムテープ跡などが白い床にそのまま写ってしまうことがあります。撮影前に靴底清掃・養生・カバーシューズの使用などを行いましょう。
また、スタジオによっては養生のルールが存在しますので事前に確認しておきましょう。

⚠ 照明設計に工夫が必要

白ホリゾントスタジオでは、背景が白一色のため光の反射が強く、ライティングが被写体や画全体に大きく影響します。そのため、ただ明るく照らすのではなく、光の方向や強さをコントロールする照明設計が不可欠です。

とくに、被写体と背景の距離や、光の拡散による立体感の損失に注意が必要です。影を防ぎつつ被写体を浮かび上がらせるには、キーライトやバックライトのバランスを取り、必要に応じて遮光機材や背景演出を取り入れる工夫が求められます。

まとめ

白ホリゾントスタジオは、被写体を際立たせ、演出の自由度を高める理想的な撮影空間です。映像や広告、MV、商品撮影など、高いクオリティが求められる場面で多くのクリエイターに選ばれています。

背景処理のしやすさや照明の自由度といった特性を活かせば、撮影表現の幅が大きく広がるのが大きな魅力です。一方で、スタジオの広さや電気容量、機材の対応などは、事前に確認しておくことが撮影成功の鍵となります。

目的に合ったスタジオを選び、撮影環境を正しく理解すれば、白ホリはあなたの表現力を大きく後押ししてくれるはずです。高品質な作品づくりのために、積極的に活用していきましょう。